其の二十五
教育
手習いの師匠
いわゆる寺子屋である。今でいうところの学習塾。
寺子屋という言葉は当時は京阪に限って使われていた。
江戸では「手習いの師匠」とか「書道指南」という。
先生の呼び方は師匠、お師匠さん、お師匠さまと呼ぶ。
生徒のことは弟子とか弟子子(でしこ)という。
師匠の正確な人数は定かではないが、内職、暇つぶし、本職などを合わせて1000人くらいいたらしい。
本当に門戸を張っているのは江戸中に300軒くらいで、メインはいわゆる浪人者とか儒学者である。
また師匠は1軒に1人と決まっている。生徒数(弟子の数)は1軒で小さなところで5、60人から100人くらい。
大きなところでは2、300人もいる。
師匠の家の造りは塀、門、格子、あるいは門なしの直接、格子戸の家もある。
入るとそこには広い靴脱ぎと左右に下駄箱があり、男女で分かれている。
寄り付きは板の間で、次が稽古場、板壁で縁なしの畳、うしろには幾らかの板の間、そこには手桶があって手習いのための水が入っている。
鉛筆やボールペン、ましてやシャープペンシルなどは未だない。
大きな火鉢にはやかんがかかっている。床の間には天神様の軸物。
天神とは菅原道真(すがわらみちざね)公のことで、学業や書の神様として有名ですね。
今は受験シーズン。菅原道真の墓所の上にご社殿を造営したのが太宰府天満宮で、全国に約12000社ある天神さまをお祀りする神社の総本宮。
私も若い頃、神頼みでお参りに行きました。
最近では2005年に九州国立博物館もでき、見応えのあるものが多く展示されています。
さて、弟子の並び方は机2つずつを向い合せて1組にしている。つまり1組が机4つで、弟子の数だけ並べていく。
師匠はその横正面にいる。男女は区別されている。
弟子の机は稽古机、つまり天神机に限られている。
師匠の机は教え机、もちろんこれは何でもOKだけど多くは紫檀などで作られた唐机(からづくえ)を使っている。
つづく