質問7
コハダを貴重に扱うのは江戸前だけだと聞きました。これってどうしてなんですか?
若旦那からの回答
江戸前鮨を代表する鮨ダネといえば、コハダ、穴子、赤身の漬け鮪など。
特にコハダは昔から江戸前(東京湾)でたくさん水揚げされてきました。近年は佐賀県、熊本県、愛知県などでも水揚げされており、当店も季節、大きさ、脂の状態によって使い分けをしております。
コハダは出世魚と言われ、シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロと大きさによって名前が変化します。
特にシンコは高価で、出始めの頃(7月中旬)はキロ数万円で取引されています。しかしナカズミやコノシロは需要が少なく大人になるに従い価値が下がり、価格もシンコの10分の1から20分の1以下になるため'出世魚'という表現は適していないのかもしれません。
当店も1年のほとんどはコハダを使用しますが7月〜8月頃はシンコ(新子)を使います。
シンコ、コハダの仕込みはまず頭と尾と内臓を取り除いて開く作業から始まります。
特にシンコは魚体が小さく、にぎり1貫に2匹から4匹を要するため仕込みに時間がかかり鮨屋泣かせの鮨ダネと言えます。笑
開きが終わると1枚1枚ザルに並べて全体に塩を振るのですがこの作業が1番重要で魚体の大きさや脂の乗り方、季節によって塩の量と時間を変えていきます。まさに職人の腕の見せどころです。
塩振りの後、水で完全に洗い流し酢洗いしザルに上げて余分な水分を切ります。しばらく放置してから再び酢に数分から数十分漬けて完成。店によって違いますが完成後半日から数日寝かせコハダ全体に酢が馴染んでからお客様にお出しします。
コハダは職人の経験と腕が試される逸品、是非ご賞味頂きたいと思います。