其の九
侍の遊び
旗本でも7~800石以上になると、むやみに外出することはできなかった。
遊びのための外出などはとても考えられない。
遊びに行くとすれば自分の下屋敷に出かける。
庭に桜なり、梅なりを植えて、そこでお花見でもするより方法はない。
外出するとなれば、親類を訪ねるか仏参かで、遊ぶといえば碁、和歌、俳句、謡曲、仕舞いなどであった。
但し隠居をしてしまえば、町人と同じと思っていい。
両国へ行こうが、芝居へ行こうがOK。
隠居をしない者が、そうした外出や遊びをしてはならないという定めも規則も別にあるわけではないが、古くからの習慣上、そういう事になってしまっていた。
現代の我々にはとても窮屈に思える。
それは、もし万一の場合ということがあるからで、場合によっては切腹というのが大きな原因であった。
いけないというよりは自主的に謹んでいるべきというスタンスである。
ところが旗本でも500石以下になると大変気楽になる。
中間の1人でも連れて、自由に外出ができる。
釣りにも出かけられるし、遊郭へも行ける。
また旗本も次男、三男となれば、御家人と同じで、大抵の遊びはOK。
踊りや三味線の稽古もすれば、芝居へも行き、遊郭へも出かけた。